[ ゆううつな雨の日 ] |
あの、ええと…、猫さんは早苗とても好きなのですが、どうして毎回毎回、早苗が書こうとすると途中でいろい
正式採用
2001/06/29(Fri)
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[ おともだち ] |
「ぷう」
「早苗、です」
「ぷう」
「今日もまた、誰とも会話をしない一日」
「おうち」
ガチャ
「だれもいない」
「今日も」
ブーン
チンッ!
ブーン
チンッ!
「あ」
『やや!』
「あなただれ」
『ボクは妖精さんさ』
「どうして妖精さんが、早苗のレンジのつまみをを何度も何度もチンしているんですか」
『おまじないさ』
「何の」
『いつも寂しそうな早苗ちゃんが、きっといつか素敵なお友達ができますようにって』
「すてき」
『君もやってごらん』
「うん」
ブーン
チンッ!
ブーン
チンッ!
「あ」
『どうしたんだい』
「宿題」
『やらなきゃね』
「美術の、おえかき、動物さん」
『ふむ、早苗ちゃんは何を描きたいんだい?』
「もぐらさん」
『じゃあ、もぐらさんをさがしにいこう』
「うん」
「もぐらさん、いない」
『もぐらさんはいつも、土の中にいるからね』
「早苗、もぐらさん知らない」
『もぐらさんを描くにはまず、もぐらさんの気持ちにならないと』
「うん」
『埋まってみようよ』
「うん、早苗も、埋まる」
ガッシュ、ガッシュ
「おっ、早苗ちゃん、穴なんか掘ってどうしたっしょ」
「あ、バッチグーせんぱい、穴、もぐらに、なるの」
「モグラ?」
「埋まるの、もぐらさん、早苗」
「そんなことしたらダメっしょ、洋服が汚れるっしょ」
「でも、もぐらさん、早苗の宿題」
「他ならぬ早苗ちゃんのためっしょ、男バッチグーが代わりに埋まってみせるっしょ!」
「どうもありがとう、すてき」
「いやいや、礼などいいっしょ、ほら、早く埋めるっしょ」
「うん」
ガッシュ、ガッシュ
「ホラ、埋まったっしょ」
「うん、でも早苗、まだもぐらさんの気持ちがわからない」
「うーん、困ったっしょ」
『それは、埋まってるのが首までだからさ、もぐらさんは太陽の下には出ないからね』
「それじゃあ、もぐらさんじゃ、ない」
『全部埋めなきゃ』
「うん」
「ちょっと!早苗ちゃん止めるっしょ!」
ガッシュ、ガッシュ
「ちょっと止め、バフッ! 口に土… ボフッ!」
「埋まった」
『これで、もぐらさんの気持ちもばっちりさ』
「あ」
『どうしたんだい?』
「宿題、動物さん、今年の干支だった」
『間違えちゃったんだね』
「うん、へびさん、あ、いた」
『ちょうど縁の下にいるね』
「うん、早苗、描く」
「かけた」
『うん、これでばっちりさ』
「ことしもよろしくおねがいします」
『よろしくおねがいします』
「妖精さん、今日はどうもありがとう」
『おやすい御用さ、ぼくたちは友達じゃないか』
「ともだち」
『そうさ、ぼくたちは、かけがえのない友達なんだ』
「ありがとう、早苗、うれしい」
『でももう、会えないかもしれない』
「どうして」
『ぼくは夢の国の住人なんだ、こうやって早苗ちゃんと会える時間も限られているんだよ。次に会えるのは、いつになるかわからない』
「そうなの、せっかく友達になれたのに」
『でもいつか、きっとあえるさ! ボクたちがいつまでも友達でいる限り、ボクは早苗ちゃんのことは忘れないよ!』
「ありがとう、早苗も忘れない」
『さよならは言わないよ』
「うん、それじゃあ、また」
『アデュー』
「きえた」
「ありがとう、はじめてのおともだち」
「あ」
「レンジ、開けっぱなし」
「かえる」
「バフッ! バフバフッ!」
2001/05/22(Tue)
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